内向的直観(Ni)と脳の働き – INFJ, INTJ by pascal

当ページのリンクには広告が含まれています。

INFJとINTJは主機能に内向的直観(Ni)を持つ。
今回は、このNiが脳科学的にどういう機能なのか見ていこう。

“心理機能”について分からないときは、
以下の記事を参考にしてみてね。

目次

・視覚的に物事を捉えることが得意 (領域O1)
・複雑な言葉を処理することが得意。自身の中で対話しながら考える (領域T3)
・タスクの段階や終わるタイミングを知覚する。憂鬱な内容や批判をいったん受け入れる。 (Fp2)

INFJ, INTJに共通する脳の活動として、上記の3つが挙げられます。
これは、Niに該当する部分と考えられ、視覚イメージが優位である点、言葉を適切に捉える点、物事に対して受容的である点が特徴です。
それぞれの脳の領域についてもう少し詳しく見ていきましょう。

領域O1: 視覚技術者

領域O1は、図表を読む・物体を視覚的に分解する・構成要素や仕組みを視覚化する・物体を頭の中で回転させるなど、
視覚に関する脳の働きをつかさどる領域です。このような人たちは、文章よりも図やイメージで思考を整理することが好きかもしれません。

また、問題を視覚化するためにベン図やロジックツリーなどを活用して問題の視覚化を行います。
この領域が活発な人は頭の中で試行するよりも、視覚的に思考する方が快適かつ正確で、作業効率も良くなるでしょう。

しかし、弱点としてこの領域は視覚イメージに頼るため言語による説明が難しく、
視覚を有効に使えない場面では相手に言葉の意図を伝えるのが非常に難しいと感じるでしょう。

以上より、Niは視覚イメージで物事を考える機能であり、
その反面、自身の中で確信しているアイデアをを周囲に伝えるのが苦手な
機能であると言えます。

INTJ, INFJがミステリアスに見える要因の1つだな。

領域T3:正確な話し手

領域T3は単語や文章、文法の使い方に注意を払ったり、注意深く相手の言葉を聞くときに使用される領域です。

例えば、「彼は彼女の家に行った」と「彼は彼女の家を訪れた」では意味合いが異なります。
訪れるという言葉には目的地から外れた寄り道のイメージがあり、”気ままな”感じが付与されるため、
彼と彼女の関係がそこまで親密でないことが示唆されます。

こうした、単語や文法を適切に知覚し使う力がT3領域になります。

また、独り言や頭の中での会話という形でこの領域を有効活用する場合もあります。
整理されていない問題や論理的な思考に対してこの領域を使うことで、より正確に状況を捉えることができるのです。

ただし、この機能は「論理的に思考する」領域ではなく、どちらかというと非言語的な領域です。
この領域を使用する人が、周囲が騒がしい場合、人と交流することが難しいと感じることもあると
言っていることから分かる通り、自身や他人が発した言葉を知覚して理解する機能と言えるでしょう。
あくまで正確に言葉を使ったり、言葉の1つ1つに注目することで、思考を補助する領域になります。

以上より、Niは正確に言葉を処理するプロセスを内包しており、
独り言や頭の中の会話・文章によって、状況を正確に知覚することができるような機能
と言えるでしょう。

確かにINFJの友達が独り言よくするって言ってたな。
思考の整理に必要なんだね。

領域Fp2:プロセス・マネージャー

領域Fp2は、知覚機能一般(Se,Si,Ne,Ni)に見られる領域です。
この領域は、自身がタスクのどの段階にいるか考えるときに使用したり、
批判的な内容を聞いた後に、改善点を冷静に観察するのに使ったりします。

つまるところ、この領域(Ni)は観察する・一旦受け入れるなどの受動的な性質を持ち、
オープンに知覚するために、自身の感情や思考との距離を置く性質を持つ領域(機能)
と言えます。

~知覚機能と領域Fp2~
知覚機能と判断機能は対になっており、知覚機能が主機能の場合、
判断を保留し世界や内面を観察する柔軟な態度を持ちます。
領域Fp2は知覚機能の性質に酷似しており、実際すべての知覚機能において、この領域が使用されています

共通に使用する脳領域のまとめ

それぞれの領域は、視覚イメージ・言語的な知覚・受容的な知覚という役割をそれぞれ果たしていることが分かりました。
それでは、この領域はNiとどのように結びつくのでしょうか。

ユングのタイプ論では、内向的直観(Ni)を「内面のイメージを詳細に知覚する機能」としています。
そして実際、脳の働きから見ても、

視覚的なイメージや正確な言語理解によって物事を知覚した後、
そのイメージを変形したり言語を介して思考することで、正確に知覚しようとする。


脳領域の使い方ができることが分かり、Niの定義とも合致します。

Niは、視覚的なイメージと正確な言語理解、受容的な知覚態度によって成り立つ機能と言えるでしょう。

閑話休題:Ni特有の脳の働き – ゾーンへの入り方

Niのゾーン状態 -三角測量-

MBTIに詳しい猫

Niはある状態になった時に最もゾーンに入りやすい。
ところで、ゾーン状態とはどんな状態か分かるか?

脳が活性化して、凄く集中している状態だよね。
本では、禅の状態とも書いてあったよ。

そうだ。よく勉強しているな。
人はゾーン状態の時、脳の大脳新皮質のすべてが同調しながら働いているんだ。全ての領域を使いながら思考している状態だ。

ゾーン状態ってそういうことなんだ。
題名にも書いてあるけど、Niが主機能の人はゾーン状態に入りやすいの?

ああ。一般にゾーン状態に入るための活動として、
自身の専門領域について考える、というものがある。
これはどのタイプでも同じことが言える。

しかし、Niユーザーは、「見慣れない斬新な問題に対処するとき」にもゾーン状態の脳波を示すことが分かっているんだ。

ええ、なんかずるい感じするな。
なんでNiはそういう脳の働き方になるんだろう。

ずるくはない。脳のすべてが同調するからと言って、スーパーマンになるわけじゃない。あくまで、ゾーン状態は大脳新皮質全体を使っているという、その状態を示すだけだ。

で、なんでそういう働きになるかだが、Niの機能の特徴を考えると分かりやすい。

Niは自分の中のイメージを知覚する機能だったよね。

そうだ。では、知覚するためには何が必要かということになるが、
ここで1つ例を出そう。

想像してみて欲しい。ある盲目の一団が、全く未知の物体を触ってそれが何なのか当てようとしている。ある人は「牙」と言い、ある人は「木」という。ある人は「イノシシ」と言った。
これによって何が分かる?

うーん、象とか?

正解だ。今、「象」という答えが3人のヒントによって三角測量の要領で浮かび上がってきた。

イメージとは様々な知覚や思考の集合体だ。答えを出すためには様々な視点から脳を働かせる必要がある。

だから、Niに関しても同じことが言える。
今、Niユーザーが新しい問題に直面したとき、Niによってイメージが形作られている最中だとしよう。
しかし、判断材料がなくてはイメージなど作れるはずがない。
脳機能の視覚化と言語の知覚では不十分だろう。

だから、脳全体を使って様々な領域を連動してイメージを生み出すんだ。
脳の領域それぞれによって三角測量をしている感覚だな。

あー!そういうことね!
イメージを作り上げるために、他の領域の助けが必要になるんだね。
脳科学から見ると、機能の働きが具体的に想像できて楽しいかも。

そうだな。まだまだ研究は少ないが、こうやって機能ごとの脳の働きを知ることで、Niが実際にイメージに重きを置いた機能だということが分かる。

事象の記述で心理機能を理解することは、誤解が生じる原因の1つだ。
脳機能や理論まで見て初めて応用の効く理解ができるようになるだろう。

・INFJのみ:起こりそうなことをシュミュレートしたり、他人の行動をミラーリングするのが得意 (F7)
・INTJ(女性)のみ:現実に起こることを正確に予測する・象徴的な意味を考えるのが得意。 (T6)
・INTJ(男性)のみ:フィードバックをもとに自身の行動を調整する (T5)

これらの領域は、Niというより、第二機能のFe, Teを指す場合が多いです。
実際、これらは判断を促進するように使われており、前述した3つの領域とは異なっています。

INFJは、共感や文脈理解、INTJ女性は状況の整理や象徴的意味の判断、INTJ男性は社会的フィードバックの反映と言った形で脳領域を使っています。

機能との関連を知るため、それぞれの領域をもう少し詳しく見ていきましょう。

領域F7:想像的模倣スキルセット (INFJ)

領域F7は、文脈にもとづく推論や他人の行動のミラーリングに使用されます。
これは、「もし、、、なら」を考える機能で、ミラーニューロンを使い状況をシュミュレーションすることに全力を尽くします。

この領域は分析的なものではありませんが、数多くのシナリオを探索するので賢明な推論ができるようになり、分析的に見えることもあります。

この領域が活発になるのは、共感するときや、人の行動を模倣・推論するとき、他人の動機を捉えようとするときや、空想的な質問を考えるときです。

これはちょうど心理機能のFeに該当します。
ユングのタイプ論で、心理機能Feは「社会的な文脈や周囲の感情に対し、自身とそれらを同一化しようとする力」と定義されます。
実際、脳科学から見てもそれは明らかでしょう。領域F7は、

社会的な文脈や周囲の感情を推察・適応した後、
模倣してそれを自身のものにしたり、単に同じように行動したりするための

領域と言えるためです。

より詳細な説明はFeと脳の働きの記事で書きますが、
INFJのFeによる共感はこの領域F7によって作られていると言えるでしょう。

社会的に良いとされているものを受け入れる力でもある。
人間の文化が発展してきたのは、この機能の働きによるところが大きい。

領域T6: 目的意識のある未来学者 (INTJ女性)

この領域は、複雑なシステムの中にいる自分を想像したり、将来について考えたり、象徴的な意味を考えたりするときに働きます。
この機能によって、明日自分が出社している姿を思い浮かべ、職場で「何が起こりうるか」を言い当てることができます。

一件、F7の「もし、、なら」から派生する推論のように見えますが、どちらかというとより現実的に、起きるであろうことと起こることを峻別する領域なのです。

抽象的な意味を持つシンボルは、言葉による説明が不可能な事象でも、総合的に状況を捉える良い方法と言えます。
これらは具体的な状況から離れて意味を考えることで、自身が置かれるであろう状況を、どちらかというと全体的で理性的に知覚する能力になります。

正しい未来を予見するための機能という意味で、Ni-Teどちらも含んでいると考えられます。

領域T5: 敏感な仲介者 (INTJ男性)

領域T5は、社会的な行動に対する他者からの評価を敏感に察知し、自身の行動を調整するために使用されます。

この領域では、F7と同じようにミラーニューロンが使われます。
F7との違いとして、F7が身体的行動を模倣したり想像したりするのに対し、T5は社会的な行動に焦点を当てます。
これによって、自身の行動が適切か、適切でないならどのように行動するべきか考えることを促します。

また、この領域は羞恥心と強く結びついています。
社会的なフィードバックにそぐわない場合、この領域を使用する人は、羞恥心を覚え積極的に行動を変えようと試みます。

この領域に隣接する領域P3は、自己の感覚を促進するため使用されるので、
領域T5を使用する人は、「独立した考えの持ち主」であることが多いです。
しかし、一方で他者のフィードバックに敏感で自意識の高い一面も見られるのです。

羞恥心が強いって大変そう、、、
その分しっかり考えて行動するようになるんだろうな。
私はあんまり気にしないから適当に行動しちゃうのかな、、、

領域T6と領域T5のまとめ

同じINTJでも性別によって使っている脳領域が違うことが分かりました。
INTJの女性は、非言語的で知覚的な側面が強いのに対して、
INTJの男性は、社会的な基準に従う判断的な側面が強いということになります。

しかし、使う脳の領域が違っていても本質は変わりません。

女性は周囲の状況や抽象化した意味から、何が起こるのかを正確な判断を補佐し、
男性は社会的な価値観にミラーリングすることで、適切かどうかの判断を発達させていくため、

それぞれの意味でTeを使用していると言えるからです。

Teについてのより具体的で広範な説明は、Teと脳の働きの記事で書きますが、
INTJのTeはこれらの領域に関連していると言えるでしょう。

~なぜ男性と女性で使う脳領域が違うのか~
脳科学的な要因もありますが、文化的な背景が大きいと考えられています。
男性は基本的に社会に出て働くこと、多くお金を稼ぐことが文化的に推奨されています。
これによって、社会からの圧力が強くなる結果、自身を社会と同化させるためにミラーニューロンが働き、T5領域の働きによって、適切な行動を重視するようになるのです。

逆のことが女性の社会でも言えます。
女性は基本的に家族を支えること、共感性や朗らかさが文化的に重視されています。
これによって、より寛容な知覚機能の側面が活性化され、他者の理解・共感が得意になります。

このように、同じINTJでも文化的な側面によって、特質が少し異なることが分かります。
しかし、どちらにせよNi-Teによって知覚-判断を行うという特質は変わることはありません。

この記事では、内向的直観(Ni)と脳領域の関連性について見てきました。

内向的直観は、視覚的なイメージや正確な言語理解によって物事を知覚した後、
そのイメージを変形したり言語を介して思考することで、正確に知覚しようとする

機能と捉えることができるようになったかと思います。
これはつまり、思考の際にビジュアル化したり、自分自身や誰かと話す形で整理する方が
自身の心理機能を活かしやすいということになります。

また、言葉の正確な知覚を必要とするため、人の多い場所では十分に力が発揮できないこと、
相手に伝えるのに図を使ったり、文章で表現したりする方が向いていることも分かります。

脳機能との関連から様々なことが分かります。
今回はNiと脳領域がどのように関連するのかについて書きましたが、
是非自分の生活や仕事と結びつけて考えてみてください。

ここまで深くMBTIを学んでいる方なら、この記事を上手く現実に活かすことができるでしょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次